AIラリーの次はAI電力株?コンステレーション、ビストラ急騰

原子力エネルギーがAIデータセンターに電力を供給する様子を抽象的に表したイメージ

✦ 10月6日の市場をひと目で

米国時間10月6日(火)の取引終了基準

7818.93S&P500
+0.58%、史上初めて7800超え。直前の最高終値は7798.99(8月13日)
27599.79ナスダック総合
約+0.5%
+3.01%業種1位:公益事業
11業種のうち
5.27%米10年物国債の金利
10月5日は5.31%、2002年4月以降で最高

米国時間の10月6日(火)、S&P500指数が過去最高値で取引を終えた。終値は7818.93で0.58%上がって、史上初めて7800を超えて引けた。

直前の最高終値は8月13日の7798.99だったから、2か月近くかけて新記録を出したわけだ。ナスダック総合指数も2万7599.79で約0.5%上がって、バロンズはナスダックが2日連続で最高値を更新したと報じた。

ところがこの日の主役は、半導体でもクラウドでもなかった。S&P500の11業種のうち、上昇率1位は+3.01%を記録した公益事業、つまり電力・ガスのような公共サービス業種だった。

バロンズの集計によると、1990年以降、30日以上最高値がなかったあとに初めて最高値を出した61回のうち、公益事業が牽引したのは2回だけで、今回が3回目だ。AIの熱気が、テクノロジー企業を越えて、その企業たちに電気を供給する側へ広がったというサインだ。

グーグルが原発の電気20年分を買うと名乗り出た

✦ グーグル–コンステレーション契約をひと目で

10月6日の発表内容

✔ 電力購入契約:20年、原発11基の出力増強890MW
✔ エネルギー供給契約:15年、2700MW
✔ 合計:3590MW
✔ 新規投資:コンステレーションが43億ドル以上
✔ 最初の増設分:2028年まで
✔ 技術提携:5年、グーグルクラウド・ジェミニ・エンタープライズ

火種はグーグルとコンステレーション・エナジーの契約だった。10月6日、二社は長期の協力を発表して、契約は二本立てになっている。一つは20年の電力購入契約だ。

コンステレーションがイリノイ、ペンシルベニア、ニュージャージーにある原発11基の設備を改善して出力を890メガワット(MW)増やし、グーグルがその電気を買う構造だ。

新しい原子炉を建てるのではなく、既存の原発をより効率的に動かして得る容量で、コンステレーションは新しい原子炉1基に匹敵する規模だと明らかにした。最初の増設分は2028年までに出る予定だ。

もう一つは、15年の電力供給契約で、2700MW規模だ。既存の発電所が経済性を失わずに電力を出し続けられるよう、収益を支える契約だという説明だ。二つの契約を合わせると3590MWになる。

コンステレーションが今回新たに投資するお金は43億ドルを超える。二社は5年の技術提携も広げて、コンステレーションがグーグルクラウドとジェミニ・エンタープライズを原発の運営に使うことにした。

コンステレーションのジョー・ドミンゲス会長兼CEOは、今回の協力が、テクノロジー企業とエネルギー業界が一緒にデジタル経済を育てながら、民間資金で電力インフラに投資するモデルになりうるという趣旨で語った。

グーグルのエネルギー統括アマンダ・ピーターソン・コリオは、原子炉の出力増強に資金を出す今回の契約が、6700万人に電気を供給する電力網PJMを強くするという趣旨で語った。

〈米ブルームバーグによるグーグルとコンステレーションの電力契約に関する報道映像です。〉
* YouTubeチャンネル『Bloomberg Television』にあがっている動画だよ。

なぜ電力がAIのボトルネックになったのか

✦ データセンターの電力見通し

ガートナー、2026年6月の発表

2026年の電力消費量
• 565TWh
• 2025年は447TWh、+26%
2026年の電力需要
• 132GW
• 2025年は104GW、+27%
2030年の電力需要
• 290GW
• 見通し
AI最適化サーバーの電力の比重
• 2026年にデータセンター電力の31%
• 2027年にAI最適化サーバーの電力消費が一般サーバーを超える

理由は数字にある。ガートナーは、今年の世界のデータセンターの電力消費量が565テラワット時(TWh)で、昨年の447TWhより26%増えると見通した。

データセンターの電力需要も、今年は132ギガワット(GW)で昨年の104GWより27%増えて、2030年には290GWまで大きくなるという見通しだ。AI最適化サーバーが今年のデータセンター電力の31%を使い、2027年には一般サーバーを超えるという。

ガートナーのリンラン・ワン・ディレクターアナリストは、AIの拡大がもう電力の確保で詰まりつつあるという趣旨で語った。チップがあっても電気がなければデータセンターは動かせないという意味だ。だからビッグテックが電気を先に押さえようと殺到しているわけだ。

コンステレーションは9月30日にも、アマゾンとメリーランド州のカルバート・クリフス原発で190MWを足す20年の契約を結んだ。

コンステレーション・エナジー(Constellation Energy Corporation, CEG, ナスダック)

✦ コンステレーション(CEG)の株価

過去約1年の推移、米ドル。株価の線は目盛りから読み取った概算

236.10320.10404.1025年10月26年4月10/6
10月6日の終値は300.40ドル(前日比+12.25%)。グーグルとの契約を発表した日だ。

コンステレーションはボルチモアに本社を置く、アメリカ最大の原子力事業者だ。原発とガス、石油、地熱、水力、風力、太陽光の設備を合わせて発電容量が55GWで、2700万世帯に電気を供給できる規模だという。

会社の説明では、アメリカのクリーンエネルギーの約10%を供給している。今年1月には、ガス・地熱発電会社カルパインの買収を終えた。

10月6日の終値は300.40ドルで、前日の267.62ドルより12.25%上がった。ブルームバーグは取引時間中に一時15%まで上がったと伝えて、時価総額が約1000億ドルを超えたという報道も出た。

投資ポイントは、長期の電力契約でキャッシュフローが見えるようになった点と、原発という希少な資産だ。

✦ コンステレーションの目標株価コンセンサス

マーケットビート22人、基準株価は10月6日の終値300.40ドル

最高 441ドル
基準株価比 +46.8%
平均 351.76ドル(マーケットビート22人)
基準株価比 +17.1%
バーンスタイン 296ドル
基準株価比 -1.5%
最低 277ドル
基準株価比 -7.8%

ただ、ウォール街がこの価格を安いと見ているわけじゃない。マーケットビートの集計では、22人のアナリストのうち17人が買い以上、5人が中立の意見で、平均目標株価は351.76ドルだ。10月6日の終値300.40ドルより17.1%高い。

目標株価は最低277ドル(終値比-7.8%)から最高441ドル(+46.8%)まで開いている。バーンスタインは10月6日、投資判断Outperformを維持しながらも、目標株価を296ドルと示したが、終値より低い。

契約発表の当日に、株価がこの目標株価を超えたという意味だ。

ビストラ(Vistra Corp., VST, ニューヨーク証券取引所)

✦ ビストラの最近の流れ

2026年の日程順

11月9日
メタと20年の契約、2609MW
210月5日
エネルギー省が最大42億ドルの条件付き融資を発表
310月6日
終値160.50ドル、前日比+10.77%

ビストラは電力をつくって売る会社で、オハイオのデービス・ベッセとペリー、ペンシルベニアのビーバー・バレー、テキサスのコマンチ・ピークのような原発を持っている。急騰の前日の10月5日には、アメリカのエネルギー省がビストラに力を貸す発表をした。

エネルギー省は、ビストラの原発の出力増強と近代化に、最大42億ドルの融資をすると条件付きで約束した。

この事業は、ほぼ4GWに達する安定した電力を守り、新規で433MWを加え、既存の免許が切れたあとも20年さらに運転できるよう支えるという。

✦ ビストラ(VST)の株価

過去約1年の推移、米ドル。株価の線は目盛りから読み取った概算

134.50172.55210.6025年10月26年4月10/6
10月6日の終値は160.50ドル(前日比+10.77%)。

10月6日の終値は160.50ドルで、前日より10.77%上がった。ビストラは1月にメタと20年の契約も結んだが、既存の発電2176MWと増強分433MWを合わせて、2609MW規模だ。

増強分は2031年から2034年の間に順番に稼働する。投資ポイントは、AIの電力需要と、融資で減った資金負担、そしてメタとの契約だ。

✦ ビストラの目標株価コンセンサス

マーケットビート17人、基準株価は10月6日の終値160.50ドル

✔ 最高 298ドル:基準株価比 +85.7%
✔ 平均 217.61ドル(マーケットビート17人):基準株価比 +35.6%
✔ BMO(10/5) 210ドル:基準株価比 +30.8%
✔ 最低 169ドル:基準株価比 +5.3%

ただ、エネルギー省の融資は確定ではなく条件付きだ。ビストラが技術、法律、環境、財務の条件を満たしてはじめて、最終文書が結ばれる。マーケットビートによると、BMOは10月5日に目標株価を231ドルから210ドルに下げた。

同じ集計で、17人のうち15人が買い以上、2人が中立で、平均目標株価は217.61ドルだ。10月6日の終値160.50ドルより35.6%高くて、最低169ドル(+5.3%)から最高298ドル(+85.7%)まで割れる。

ほかの電力株も一緒に上がった

✦ 10月6日の電力株の終値

終値と前日比の騰落率

コンステレーション(CEG)
• ナスダック
• 終値 300.40ドル
• +12.25%
ビストラ(VST)
• ニューヨーク証券取引所
• 終値 160.50ドル
• +10.77%
タレン・エナジー(TLN)
• ナスダック
• 終値 373.11ドル
• +12.43%
NRGエナジー(NRG)
• ニューヨーク証券取引所
• 終値 103.60ドル
• +7.02%

同じ日、タレン・エナジー(Talen Energy, TLN, ナスダック)が12.43%上がって373.11ドルで、NRGエナジー(NRG Energy, NRG, ニューヨーク証券取引所)が7.02%上がって103.60ドルで取引を終えた。

一つの銘柄の好材料ではなく、電力株全体に資金が広がったという話だ。

金利が5%を超えたのに株価は上がった

アメリカの10年物国債の金利は、10月5日の終値基準で5.31%で、2002年4月以降でいちばん高かった。翌日の10月6日は5.27%と0.04%ポイント下がり、30年国債の金利は5.64%だった。

金利が高いと、普通は将来の利益の価値が削られて、成長株には負担になる。それでもS&P500は最高値を出した。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、市場が今やAIを構築してその恩恵を受ける、おなじみのテクノロジー企業という一つのエンジンで動いているという趣旨で書いた。

まとめると、AIラリーの舞台が、半導体とクラウドから、電気をつくる側へ広がった。グーグルの原発契約とエネルギー省の融資がその証拠で、コンステレーションとビストラが大きく跳ねた。

ただ、一日で10%以上上がったあとだから、バーンスタインが目標株価を終値より低く置いたように、負担も一緒に大きくなった。

昔からAIが発達すれば必然的に小型モジュール炉(SMR)をはじめとする電力株が上がるという話が多かったけれど、ちゃんとしたラリーが来るのか気になるな。

これは投資助言じゃないよ。わかってるよね?大切なお金は自分で守ろう。

今回はここまでにするよ。また会おう。

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