株価はなぜ下がるの?アップルの投資家は戸惑った
✦ 過去最高の業績でも株価は下落
米国東部時間の通常取引の終値(ドル)、12取引日。線は目盛りから読み取った概算
アップルは11月2日、米国市場の取引終了後に、業績と次の四半期の見通しを公開した。その後のカンファレンスコールで、株価は一時約4%下がり、その後、時間外取引で下げ幅を約2%に縮めた。
✦ 9月四半期の業績、ひと目で
前年同期比
こう見ると、「アップルの業績はいまいちだったのか?」と思うかもしれないけれど、むしろアップルは過去最高の業績を出した。
2026会計年度の9月四半期の売上は1,144億8,000万ドルで、前年同期より12%増え、純利益は307億ドル、希薄化後の1株あたり利益は2.10ドルだった。四半期ベースで過去最高だ。
市場予想は、売上1,133億9,000万ドル、1株あたり利益1.99ドルだったけれど、関税の還付効果5セントをEPSから引いても、2.05ドルで、市場予想より高かった。十分によい業績だ。それなのに、業績発表のあと、アップルの株価はむしろ押されたんだ。
iPhoneの売上は576億ドルで17%増え、Macは108億ドルで24%増えた。サービス売上も316億ドルと、過去最高だった。ただ、iPadは10%、ウェアラブル・ホーム・アクセサリーは8%減った。
中華圏(中国本土、香港、台湾)の売上も、175億4,000万ドルで、アナリスト予想の185億8,000万ドルに届かなかったけれど、とにかく前年同期より21%増えて、9月四半期の記録を作った。
よく売れた製品もあれば、期待に届かなかった製品もあったけれど、悪くない結果だった。
でも、最近の株式市場は、過ぎた成績表にはあまり関心がないようだ。むしろ、近づく年末の買い物シーズンの収益性を心配している。
iPhoneは売れているけれど、メモリをはじめとする部品の価格が急速に上がっている点、収益性の高いサービス事業の成長スピードが鈍っている点に、より注目しているんだ。
メモリ価格が利益を押しつぶす
市場が心配しているのは、アップルのメモリの購入コストだった。iPhoneとMacには、作業中のデータを高速に処理するDRAMと、写真・動画・アプリを保存するNANDフラッシュが入っている。
ところが、AIデータセンターがサーバー用メモリを大量に買い入れているので、メモリ企業は、収益性の高いサーバー製品に生産能力をより多く割り当てている。その余波で、スマートフォンとPCに入るメモリは、供給も逼迫して、価格が上がっている。
市場調査会社のトレンドフォースは、2026年第4四半期に、汎用DRAMの契約価格が前四半期より10〜15%、NANDフラッシュの価格は15〜20%上昇すると予想した。
アップルが実際に購入するメモリの価格が同じ割合で上がるという意味ではないけれど、スマートフォンメーカー全般にコスト圧力が強まっているのは事実だ。
アップルのCEO、ジョン・ターナスも、最近のメモリ価格の動きを「前例のない状況」と説明した。次の四半期にはメモリコストがさらに高くなると見込み、その後も購入価格の上昇が続くと見通した。
いまは、以前に安い価格で確保した在庫が衝撃をいくらか和らげているけれど、その在庫が尽きれば、高いメモリを新しく買わなきゃいけない負担が、もっと大きくなる。
✦ 売上総利益率の実績と見通し
関税の還付効果を分けて見る
この変化は、売上総利益率の見通しにそのまま表れた。アップルの9月四半期の売上総利益率は47.9%だったけれど、ここに関税の還付効果、約1%ポイントが含まれていた。
関税の還付効果を除くと、9月四半期の収益性は6月四半期より約1%ポイント低くなり、アップルは主な原因として、メモリコストの上昇を挙げた。
✦ 知っておこう
売上総利益率って何?
正直、「収益性がたった1%下がっただけ? それのどこが問題なの??」と思うかもしれない。でも、もっと大事なのは、これからの見通しだ。アップルは、12月四半期の売上総利益率を45〜46%と予想した。
関税の還付効果を除いた9月四半期の水準と比べると、見通しの中間値が約1.4%ポイント下がる。財務責任者は、この下げ分の大部分が、メモリコストの上昇のためだと説明した。
アップルは、メモリを確保するために、サプライヤーと製造関連の購入約定を増やした。9月26日時点の約定額は897億ドルで、このうち827億ドルが、今後12か月以内に支払われる予定だ。6月末より、約定の規模が330億ドル増えた数字だよ。
ここには、メモリだけでなく、液晶、カメラなどさまざまな部品と製造コストがいっしょに含まれる。アップルが供給を先取りしようと、大規模な約束を増やしたという意味だけれど、部品の価格が上がる環境では、その分、コスト負担が大きくなる。
サービスの成長も期待より遅くなる
アップルを支えるもうひとつの柱が、サービス事業だ。App Store、iCloud、Apple Music、広告とクラウドのサービスが、ここに含まれる。
✦ アップルのサービス売上の成長率
四半期ごとの比較
9月四半期のサービス売上は316億ドルで10%増え、過去最高を記録した。売上総利益率は76%で、製品部門の37.2%よりずっと高かった。ところが、12月四半期のサービス売上の成長率の見通しは、8〜9%にすぎなかった。
9月四半期の10%より低く、ロイターが引用した市場予想の10.7%にも届かなかった。アップルは主な原因として、サードパーティのコンテンツ・ライセンス契約と為替の影響を挙げた。
モバイルゲームの不振と、一部の国のApp Storeの事業方式の変化も、負担として残っている。
iPhoneの販売が増えて、ハードウェアの売上は大きくなっているけれど、高い利益率を持つサービス事業の成長スピードが鈍れば、全体の収益性の改善にブレーキがかかりうる。
投資家は、今回の株価下落に、メモリ原価だけでなく、このサービスの見通しもいっしょに作用したと見ているんだ。
実は、アップル株は、業績発表の前から割高な状態だった。11月3日にロイターが集計した、今後12か月の予想利益ベースの株価収益率(PER)は、約35倍だった。アルファベットは18.23倍、マイクロソフトは23.43倍だった。
市場は、アップルが高い成長と収益性を保ち続けると期待して、株価にプレミアムを与えていたんだ。こうした状況では、売上とEPSが予想を上回っても、これからの利益率が下がるという見通しが出ると、株価が揺れうるということだ。
✦ 株価下落の背景、3つ
メモリ・サービス・バリュエーション
市場の意見は分かれている。利益そのものは、はっきり増えたよね。利益率が下がっているだけだ。だから、いまは、株価が上がっても下がっても、どちらでも説明がつく局面だよ。
結果的に、株価が弱含んでいるので、投資家は、利益率が下がっているほうに、より重きを置いているようだ。
これは投資助言じゃないよ。わかってるよね?大切なお金は自分で守ろう。
今回はここまでにするよ。また会おう。
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