
フランスの10年満期国債の利回りが、5%のすぐ下まで上がってきた。10月19日の市場データ基準で4.925%で、フランスとドイツの10年物の金利差は、約1.46ポイントまで開いた。
同じ日、パリ証券市場の代表指数のCAC 40は、1.11%下落して、7,868.05で取引を終えた。フランスの財政問題の影響が大きい。
✦ フランス10年国債の利回りの流れ
9月29日〜10月19日、Investing.comのベンチマーク日次終値(%)。線は目盛りから読み取った概算
国債金利が5%に近づいたということは、どういう意味だろう? フランス政府が新しくお金を借りたり、満期が来た借金を借り換えたりするとき、投資家がより高い利子を求めるという意味だ。
既存の国家債務の利子が、一晩ですべて5%に変わるわけではないけれど、高い金利が続けば、借金を借り換える過程で、政府の利子負担がだんだん重くなる。
財政赤字が大きくて、政界が支出を減らすことで合意できなければ、市場はその代価を金利で求める。知ってのとおり、政府が財政支出を減らすのは、本当に難しいことだ。政治的な理由でも、経済的な理由でもね。
フランスの財政はどれほど悪い状況なのか
✦ フランスの公共財政の見通し
フランス財務省の見通し、EU基準は赤字3%・債務60%
フランス財務省の2027年の財政見通しを見ると、政府赤字は2026年にGDPの5.4%、2027年の目標も5.0%だ。2026年の政府債務はGDPの119.3%、2027年の政府債務はGDPの121.7%と見通されている。
欧州連合条約が示した基準は、財政赤字3%、政府債務60%だった。フランスは、二つの基準をどちらも大きく上回っている。
✦ 国家債務関連の予算負担
2026年の修正見通しと2027年の比較
フランス政府は、2027年の国家資金調達の必要額を3,397億ユーロと見込み、国家債務関連の予算負担は、729億ユーロと予想した。2026年の修正見通しの626億ユーロと比べると、103億ユーロ、約16.5%増えるのだ。
ここで、3,397億ユーロがすべて新しい赤字という意味ではない。以前に発行した国債のうち、満期が来る債券を返済して、再び発行する資金も含まれている。
満期が来た債券を、低い金利から高い金利に借り換えなければならないなら、利子負担は時間がたつほど大きくなる。フランス国債の平均残存満期は、2026年9月末基準で約8年158日だ。
だから、金利上昇が政府全体の利子支出に反映されるまでには時間がかかるけれど、とにかく負担は、積み重なり続けるしかない。
投資家はなぜドイツ国債と比べるのか
フランス国債の利回りだけを見ると、市場の不安がどれほど大きくなったか感じられないかもしれない。だから投資家は、ユーロ圏の代表的な安全資産とされるドイツ国債と比べる。
フランス10年物からドイツ10年物の利回りを引いた値を「スプレッド」と見るなら、10月19日、この差は約146bp、つまり1.46ポイントまで開いた。
10月20日のアジア取引時間に出たロイターの報道では、147.3bpとさらに大きくなったと伝えた。
スプレッドが広がるというのは、投資家が、ドイツよりフランスにお金を貸すときに、より多くの利子を求めるという意味だ。フランスの財政と政治状況をめぐるリスクを心配しているのだ。
政治状況も重要だ。2027年の予算案は赤字を減らす方策を含んでいるけれど、支出削減と税金の調整をめぐる議会の対立が続いている。10月19日には、デモと社会的な不安が重なり、フランスの債券と株式が一緒に圧迫を受けた。
投資家の立場では、政府が財政計画を実際の法案として通せるのか、計画が通っても執行できるのか、確信が持てない状況だ。
国債金利の不安は、株式市場にどう広がるのか
第一の経路は、銀行だ。銀行は国債を保有することもあって、政府と企業の資金調達環境にも影響を受ける。金利が急に上がると、すでに発行された債券の価格は下がる。
もしこの原理をよく知らないなら、すでに発行された債券の金利が上がれば価格は下がる、と考えればいい。すでに販売した債券の表面利子を急に変えることはできないから、代わりに価格を下げて、金利上昇分を埋め合わせると考えれば、理解しやすいはずだ。
そうすると、銀行が保有する債券の価格が下がって、銀行が損をするだろう。
さらに、借入コストが増えた企業や家計は、ローンの返済に苦労する。国債金利が上がれば、その分、変動金利ローンや社債の金利も上がるから。それだけ銀行がローンを回収しにくくなるのだ。
ロイター・ブレイキングビューズは、8月初め以降、ヨーロッパの主要銀行株が弱く、フランスのBNPパリバ・クレディ・アグリコル・ソシエテ・ジェネラルは、平均で約20%下落したと伝えた。
金利上昇が銀行にいつも好材料だという公式が、今回は通じない理由だ。金利上昇による利子収益の増加より、ローンを回収できないリスクと、債券価格の下落による損失のほうを、大きく評価しているのだろう。
✦ CAC 40の終値の流れ
9月29日〜10月19日、ユーロネクスト・パリ、指数ポイント。線は目盛りから読み取った概算
二つ目は、フランスの株式と消費関連業種だ。10月19日、CAC 40は1日で1.11%下落して、金融株や流通株も圧迫を受けた。
年初来の成績を比べると、10月中旬基準で、CAC 40は約3%下落したのに対して、ヨーロッパ全体を見るSTOXX Europe 600は約7%上昇した。それだけ、フランスへの投資家の不信が大きい。
✦ 10月19日の市場指標
2026年10月19日基準
三つ目の経路は、ヨーロッパ全体のリスクプレミアムだ。フランスはユーロ圏で経済規模が大きい国だから、フランス国債のリスクプレミアムが上がれば、投資家は、イタリアなど債務が多いほかの国の国債も、より厳しく見始めるかもしれない。
実際に10月19日の報道では、イタリア国債の利回りも上昇して、ユーロが弱含んだ。グローバル投資家が、ヨーロッパ株ETFやヨーロッパの銀行株を保有しているなら、フランスの問題が、そこにも影響を与えるだろう。
だからといって、すぐに昔のギリシャ財政危機のような状況が始まったと断定する段階ではない。10月14日、EU経済担当委員のヴァルディス・ドンブロフスキスは、新しいユーロ圏の国家債務危機の兆候はないと言いながらも、健全な財政政策が必要だと強調した。
IMFも、現在のフランスの借入コスト上昇は管理可能な水準だけれど、高い金利が長く続けば、中期的な財政調整の圧力が大きくなりうると評価した。
つまり、フランス政府が財政支出をどれだけ減らして管理できるかによって、なんとか解決していく道は残っているということだ。
次に何を見ればいいのか
✦ ムーディーズのフランス信用格付け
フランス国債管理庁の公開日程基準
近い日程の中では、ムーディーズのフランス信用格付けの審査が重要だ。フランス国債管理庁が公開した日程によると、ムーディーズの既存の格付けはAa3、見通しはネガティブ(弱気)で、次の評価日は10月23日に決まっている。
これから見る数字は三つだ。フランスとドイツの10年物の金利差がさらに開くか、2027年のフランス予算で赤字削減が実行可能か、そして、ムーディーズがネガティブの見通しを維持するかどうか。
これは投資助言じゃないよ。わかってるよね?大切なお金は自分で守ろう。
今回はここまでにするよ。また会おう。
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