
日本時間の10月29日は、米国経済を読み解く三つの数字が集中する日だ。明け方の3時にFRBの政策金利の決定が出て、夜9時30分には、米国の第3四半期のGDPと9月のPCE物価指数が公開される。
約18時間半の間隔で、株式市場に莫大な影響を与える三つの数字が発表されるのだ。
日本時間でまず確認する日程
✦ 日本時間で確認する発表日程
すべて10月29日、明け方3時と夜9時30分に集中
一つ目の数字:政策金利3.75〜4.00% — 今回の決定のあと、市場は12月を見る
FRBは9月16日、政策金利を0.25ポイント引き上げて3.75〜4.00%にした。当時の声明は、経済活動は堅調なペースで拡大しているけれど、インフレは依然として高いと評価していた。
ひとまず、今回は据え置きが有力だというのが、市場の基本シナリオだ。ただ、決定文と記者会見で、12月の追加利上げの可能性をどれだけ強く残すかが焦点だと、大半のアナリストが助言している。
米国東部時間の10月23日の明け方の「金利先物のスナップショット」では、「10月据え置きの可能性」が約92%、「0.25ポイント利上げの可能性」が約8%と表れた。12月には、目標レンジが4.00〜4.25%に上がる可能性を、約72.3%と織り込んでいた。
10月の利上げの可能性は低く見ながらも、年末の追加利上げの可能性をかなり高く見る状況だ。
✦ 市場が織り込んだ金利シナリオ
10月23日明け方の金利先物スナップショット基準の確率
この確率は、先物価格に含まれている「投資家たちの賭け」だ。今回の決定で金利を据え置いても、記者会見で物価上昇を強調して、12月の利上げの可能性を開けておけば、市場はそれを、タカ派的な据え置きと受け止めうる。
反対に、物価の鈍化に重きを置けば、年末の金利への期待が下がる余地が生まれる。
二つ目の数字:GDP成長率 約3% — 米国の景気はどれほど強いか
✦ 第3四半期GDP成長率の見通しの比較
年率基準、機関ごとに少しずつ違う
米国の第3四半期の実質GDP成長率も、とても大事だ。市場の予想は、年率で3%前後だ。コンセンサスは3.0%、Trading Economicsの独自見通しは3.1%、Continuum Economicsの見通しは2.8%で、少しずつ違う。
それでも、三つの見通しはどれも、第2四半期の実際の成長率2.2%より、成長のスピードが速くなるという絵だ。
ここで年率3%は、第3四半期の成長スピードが1年間続くと仮定して換算した数値だ。四半期成長率に直すと、約0.74%程度にあたる。3%という数字だけ見ると強く見えるけれど、何が成長を引っ張ったのかも、一緒に見なければならないだろう。
Continuum Economicsは、消費支出が年率3.4%、在庫と純輸出を除いた内需(最終需要)が3.8%増えると見た。AI関連支出が含まれる企業投資の見通しは、年率9.6%の増加だ。
AIデータセンターと設備への投資が企業投資を後押しして、消費もかなり持ちこたえている絵だ。
ただ、GDPには在庫と輸出入も反映される。まだ売れていない製品を在庫として積み上げておけば、生産された物が在庫投資として計上されて、成長率を押し上げうる。
だから、GDP成長率が高く出ることと、本当に経済がきちんと回っていることは、少し別の問題だ。(ずっと生産だけして売れなくても、GDPには反映されるから)
でも、この数字が米国の経済政策に影響を与え、それが世界に影響を及ぼすので、本当に大事な数字だ。
三つ目の数字 PCE 月間0.5% — 物価はまた熱くなるのか
FRBが物価の流れを判断するときに重要視するものの一つが、PCE物価指数だ。
9月の数値はまだ発表前で、市場では、「ヘッドラインPCE」(食品・エネルギーを含む消費支出全体の価格変化)が、前月比0.5%、前年比3.6%上がると予想している。
食品とエネルギーを除いたコアPCEは、月間0.3%、前年比3.1%の上昇という見通しだ。
✦ PCE物価、8月の実際の値と9月の見通し
FRBが物価の流れを判断するときに重要視する指標
比較の基準の8月の実際の値は、ヘッドラインPCEが月間0.3%、前年比3.4%だった。コアPCEは、それぞれ0.2%、3.0%だった。今回の見通しどおりなら、8月より9月に、物価上昇のスピードが速くなったということだ。なぜFRBはこの数字に敏感なのだろう?
FRBの長期の物価目標は、PCE基準で2%だ。PCEがFRBの目標値よりあまりにも高くなると、FRBは利上げを検討せざるをえない。
エネルギー価格も変数だ。10月23日、ブレント原油は1バレル116.27ドルまで上がり、5か月ぶりの高水準を記録した。
サウジアラビアで発生したフーシ派の攻撃と、アラブ首長国連邦(UAE)で報告された油流出事故が、中東の供給障害への懸念を高めた。原油が上がれば、物価上昇には直撃弾だ。もちろん、10月の原油急騰が9月のPCEに反映されるわけではない。
でも、FRBは今後の物価の傾向まで検討して金利を決めるだろうし、今回の原油上昇も、FRBの判断に影響を与えるしかない。
三つの数字は別々には動かない
✦ GDPとPCEの組み合わせで読む市場
成長の方向と物価の方向、四つの組み合わせ
GDPとPCEの組み合わせを、こんなふうに分けて見られる。
特に、成長株は、こうした発表に敏感だ。数年後に稼ぐ利益を現在価値で計算するとき、金利が高ければ、その価値をより大きく割り引くことになる。だから、経済が成長して業績見通しがよくても、金利が上がれば、株価が揺れうる。
反対に、景気の鈍化が本格化すれば、企業の売上見通しが弱くなって、同じく株価に悪影響を与えうる。GDPとPCEをセットで見なければならない理由だ。やはり、GDPは成長しながらPCEは安定する流れがいちばんいいだろう。
株式市場は発表の前から揺れている
✦ S&P 500の終値の流れ
10月1日〜23日、米国東部時間の通常取引の終値。線は目盛りから読み取った概算
S&P 500は、10月6日の終値7,818.93から、10月23日の終値7,652.96へ、約2.12%下がった。
10月22日には、S&P 500が1.21%、ナスダック総合指数が2.6%下落して、半導体株指数は、6月以降で最大の1日の下げ幅を記録した。メタの業績が「AI投資が実際の収益につながるのか」への不安を、再び刺激した日だ。
翌日、ナスダックは0.2%反発したけれど、S&P 500は約0.14%さらに押された。
ちなみに、来週は、アルファベットとマイクロソフトが10月28日、アマゾンが29日に業績を発表する予定だ。これらの会社がAIデータセンター投資をどれだけ増やすのか、すでに使ったお金が売上とキャッシュフローとして戻ってきているのかが、テック株の雰囲気を左右しうる。
近づく発表の週に、まず見るべきものは、GDP3%という見出しそのものではない。その成長率が消費と投資から出たのか、在庫と輸出入の影響が大きかったのかも、大事だ。
そして、コアPCEが0.3%前後にとどまるか、ヘッドライン物価が上昇するかを、見なければならない。もちろん、FRBの決定文と記者会見が、今後の金利の道筋をもっとも明確に見せてくれるだろう。
これは投資助言じゃないよ。わかってるよね?大切なお金は自分で守ろう。
今回はここまでにするよ。また会おう。
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